「彫刻を始めてから半世紀を過ぎました。木材を中心に作品を制作してきましたが、永い間木材と生活してきますと、木が発する気功のようなものが、私の呼吸と調和して、私の生活のリズムを生み出し、飽きることなく続けております。形式にこだわることなく、抽象、具象的と自由に形を造り出してきましたが、どの様にして形が生まれるのかと自問自答して見ますと、私の彫刻は、自然界にあるものと音楽、文学にある観念的要素とが融合されたものが醸し出しているのかもしれません。展示作品の『風であることを知った』はそのひとつです。美しい言葉だと思います。この作品の題名は、19世紀中頃アメリカの女流詩人エミリ・ディッキンソンの詩の一編から発想を得て、バロック音楽と重ねて制作したものです。」石松豊秋氏。
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