「絵を見て「わからない」という言葉をよく聞く。では、絵は「図解」なのだろうか?そこに「正解」があって、それを「理解」すれば、こと足りる営みなのだろうか?実は制作している僕自身、答を図解している気持ちはさらさらなく、描くことで、何かが見えてくることを楽しんでいる。「何かのため」というよりも、ただ「面白い」からやっている、が、本当のところであろう。絵という、何がしかの描画材で支持体の上に、形や色を施す媒体は、人類の誕生の頃から続く古い媒体である。電子媒体が席巻する現代世界では、かなり古びて廃れつつある分野かもしれない。メインの媒体ではあり得ないが、この等身大の、身体と地続きの媒体は、現代社会で、何かのためにと、がんじがらめになった心と身体を解きほぐすきっかけには、なるかもしれない。」と辻氏。
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